東京都内の自治体アンテナショップが、中高年の女性を中心に人気を集めている。近年は店舗をリニューアルして飲食にも力を注入。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため外出ができなくても、ネットショッピングを楽しめる店舗もある。2018年度の年間売上高では、北海道に加えて広島県の店舗も10億円を超える盛況ぶりだ。
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新潟県出身で現在は都内で働く40代の女性は、同県の「表参道・新潟館ネスパス」(5月6日まで臨時休業)をよく利用する。
「地元でしか買えないお酒や調味料が手に入ります。急に懐かしくなって食べたくなるものがすぐ買えるのはありがたいです。新潟の地元の人も知らないお菓子や食品があるのも新しい発見で楽しい」
米どころの新潟は全国有数の日本酒の産地だ。この女性は、ネスパスで購入すると地元に貢献している気持ちになるともいう。
ネスパスは、「新潟の食の魅力」を伝えることに力を入れている。06年度から物産販売を開始。18年度に店舗をリニューアルし、インスタグラムやツイッターによる情報発信も始めた。ホームページでは、農産物のネット直売所情報や、地元の食材を使ったレシピを載せるなどしている。
18年度の来店者は前年度に比べて2.3%増の103万人超と、8年連続で100万人を超えた。年間売上額も同1.2%増の7億円弱だ。
地域活性化センター(JCRD)によると、自治体アンテナショップが都心部に増え始めたのは、バブル経済がはじけて地価が下がった1990年代ごろから。92年度は都内で2店舗だったが、ほぼ右肩上がりで増加。19年4月現在、都道府県の独立店舗39と集合型店舗5、市町村も加えた総計で79と、過去最高になった。こうした出店を支えているのは、中高年の、特に女性だという。
老朽化対策や飲食スペースの設置などのため、リニューアルした店舗が相次いでいることも人気に拍車をかけている。19年4月現在で30店舗に達し、18年度だけでも10店舗あった。