台風14号の影響で打ち寄せる高波
台風14号の影響で打ち寄せる高波

 気象庁によると、世界の年平均気温は100年あたり0.73度の割合で上昇。日本の年平均気温は同1.28度の割合で上昇し、全国的に猛暑日や熱帯夜が増え、冬日が減っている。また、全国的に大雨や短時間強雨の発生頻度が増える一方で、降水の日数は減少しているという。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告で、佐藤さんが「もっともセンセーショナル」というのが、台風の影響がより大きくなる可能性があるのは特に「日本の近海」という指摘。台風発生がこれまでの太平洋のフィリピン諸島付近から、より日本近海に移ってくる。その要因は「熱帯の拡大」で、熱帯域が広がり、寒い中緯度の地域が縮小する。佐藤さんは、日本に「より強い台風が来る可能性があって脅威。台風に伴う暴風雨が大都市を直撃すると被害が大きくなる」と話す。

 国土交通白書(2022)は近年、異常気象が激甚化、頻発化していると指摘する。世界中で異常気象が毎年のように発生し、各地に豪雨災害など大きな被害が出ているとも。大雨や短時間強雨の頻発は、自然変動による異常気象のほか、温暖化の影響があるとみている。

 自然災害の激甚化に対して、待ったなしの対応を迫られている。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2023年2月17日号

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