1990年代に一世を風靡したのは横浜ベイスターズ(現DeNA)のマシンガン打線だ。日本一になったのは1998年だが、打線としての破壊力は翌年の1999年が上だっただろう。

1番:石井琢朗 157安打8本塁打58打点39盗塁 打率.292
2番:波留敏夫 169安打15本塁打70打点21盗塁 打率.298
3番:鈴木尚典 178安打17本塁打92打点7盗塁 打率.328
4番:ローズ 192安打37本塁打153打点3盗塁 打率.369
5番:駒田徳広 151安打9本塁打71打点0盗塁 打率.291
6番:佐伯貴弘 112安打10本塁打53打点1盗塁 打率.309
7番:進藤達哉 95安打14本塁打43打点1盗塁 打率.286
8番:谷繁元信 126安打11本塁打51打点0盗塁 打率.295

 1985年の阪神と比べるとホームラン数はかなり少ないが、とにかく切れ目のない打線が特長だった。リードオフマンの石井は打率こそ3割を下回ったものの4割近い出塁率を残し、また盗塁王にも輝いている。波留との1、2番コンビでチャンスを作り、鈴木とローズで返すというパターンが確立されていた。また下位打線も打率3割前後の打者が並んでいるのも相手投手からすると厄介だったはずだ。この年37本塁打を放ったローズも本来はアベレージタイプのバッターであり、純粋な長距離砲が不在でこれだけ得点力が高かった打線は他にはないだろう。チーム打率.294は現在でもセ・リーグ記録である。

 1990年代後半以降、他球団の大砲を集めて打線強化を図ってきた巨人。そんな中でも破壊力という意味では2004年の打線がナンバーワンになるだろう。

1番:仁志敏久 176安打28本塁打60打点3盗塁 打率.289
2番:清水隆行 178安打16本塁打60打点4盗塁 打率.308
3番:ローズ 150安打45本塁打99打点3盗塁 打率.287
4番:高橋由伸 135安打30本塁打79打点1盗塁 打率.317
5番:ペタジーニ 111安打29本塁打84打点2盗塁 打率.290
6番:小久保裕紀 145安打41本塁打96打点0盗塁 打率.314
7番:阿部慎之助 114安打33本塁打78打点0盗塁 打率.301
8番:二岡智宏 88安打9本塁打49打点0盗塁 打率.269

 近鉄からローズ、ダイエーから小久保を補強し、この二人が揃って40本塁打をクリア。仁志、高橋、ペタジーニ、阿部の4人も20本塁打以上を放ち、チーム全体で新記録となるシーズン259本塁打をマーク。まさに重量打線の名に相応しい成績を残した。2000年代の巨人打線の強さは捕手に阿部がいたこと。どの球団も捕手で打線が途切れることが少なくないが、阿部は逆にポイントゲッターとして機能していた。この年は初めて30本塁打以上を放ち、打率も3割をクリアしている。一方で機動力には乏しく、足を使える選手がいなかったのはマイナスポイントだ。またホームランこそ出るものの、打線としてのつながりという意味ではもうひとつという印象が強かった。

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近年で強力打線を誇ったのは?