球技系種目では、体重が重いほうが有利なアメリカンフットボール、スピードを重視するサッカーなど、種目やポジションにより特性がわかれます。野球では、内野手は瞬発的な動作の反復能力、4番打者は大きなパワーが要求されるでしょう。これら球技系アスリートのからだづくりは、通常は個別におこなわれます。共通するのは、パワー・スピード・持久力を高めるための、体脂肪を減らす食事、たんぱく質の補給、貧血の予防の鉄分補給などになります。
体操、フィギュアスケートなどの審美系種目では、体形を美しく見せるためのウェートコントロールがよくおこなわれます。食事制限や長時間の練習によって、栄養障害や無月経、貧血、骨密度低下などが起こりやすいため、注意が必要です。練習の前・中・後に適宜エネルギー補給ができるように補食を取り入れ、減量する際には栄養管理のサポートを実施する必要があります。
柔道、ボクシング、レスリングなどの格闘系種目では、体格の大きさが競技力を左右することが多いといえます。階級制競技では、試合前に食事・水分制限で急激に減量し、再増加させることが一般的ですが、身体に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な栄養管理を要します。選手自身が実践的な栄養教育を受けることにより、食事を自己管理できるようになることも大事です。
競技者、監督、コーチ、トレーナー、競技団体などのスポーツの現場では、アスリート自身が栄養・食事に関する自己管理能力を高めるための栄養教育や食環境の整備など、栄養サポートに対するニーズが高まっています。また、チームや団体内において、監督、コーチ、トレーナーや、医・科学の各専門分野のスタッフと連携して、栄養面からの専門的なサポートをしてほしいといった要望があります。
これらの現場のニーズに的確に応えられるスポーツ栄養の専門家として、「公認スポーツ栄養士」がいます。公認スポーツ栄養士は、日本栄養士会と日本スポーツ協会による認定資格で、管理栄養士の国家資格を有していることが受講条件となっています。
日本スポーツ協会のホームページでは、「公認スポーツ栄養士」を都道府県ごとに検索することができます。公認スポーツ栄養士は、スポーツ医・科学の知識と栄養学の専門家として、日本代表といったトップアスリートからジュニア層、健康増進を目的としたスポーツ愛好家まで、幅広い層のスポーツ活動における食事・栄養サポートをおこなっています。
スポーツ栄養の知識を取り入れ、一番身近な食生活を改善することで、多くのアスリートたちにより高いパフォーマンスを発揮してほしいと思います。