親としては子どもが心配で登校を急き立ててしまいますが、それは子どもを追い詰めてしまいかねないと警鐘を鳴らしたいのです。
私は中学生のころ不登校でしたし、20年近く不登校を取材してきました。その経験から言うと、休息が必要な子には今、充分な休息をさせないと、心に深い傷を負い、最悪の場合は精神疾患や自殺を余儀なくされます。
■子どもからのSOSサイン
子どもをそこまで追い詰めないためには、前兆に気づく必要があります。複数の医師やカウンセラーが指摘してきた「子どものSOSサイン」を挙げたいと思います。
・頭痛や腹痛など不調を訴える
・食欲がない
・朝、立ち上がれない(起きられない)
・宿題が手につかない
・感染リスクを過度に訴える
とくに誤解を受けやすいのが「宿題」と「感染リスク」です。宿題をやらないのは、ただの「サボり」だと思われがちです。しかし、学校や生活面で強い不安を感じている子どもは、本人の意思とは関係なく勉強ができません。休校中からたくさんの宿題が出ていますが、子どもがコンスタントに宿題を終えているかというのも子どもの変化を知るバロメーターのひとつになります。
「感染リスクを過度に訴える」は現在の状況ならではといえます。ある小学生の子どもが、学校で感染するかもしれないことを母親に必死で訴え始め、最後は泣き出してしまったという話を聞きました。この子どもが訴えたかったのは、ウイルスに対する恐怖感だけとは限りません。実はいじめなどのトラブルを抱えており、「感染リスク」を名目に登校を拒否しているのかもしれません。
ただ、こうした行動が出ても、すべてを心配する必要はありません。あくまで「SOSの可能性」を秘めたものであり、こうした状態には注意を払ってもらいたいというものです。
大事なのは、親や祖父母など子どもを日常的に見ている人が「ヘンだな」「いつもとちがうな」と思ったタイミングで、一度立ち止まることです。そのタイミングは「勘」と言い換えてもいいです。「ふだんとちがう」と思ったならば、迷わず周囲と相談しながら対応を考えてもらいたいと思います。