新型コロナウイルスによる景気後退は、今後の新卒採用にも影響する可能性がある。2021年卒業予定以降の採用はどうなるのか。AERA 2020年6月8日号は、「コロナ禍の就活」を特集。その中からここでは、学生に人気の企業へのアンケートと専門家の声を紹介する。
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リクルートキャリアが調査した5月1日時点での内定取得先の業種のデータをみると、情報通信業や飲食店・宿泊業、運輸業などで前年同時期を下回ったが、建設業や小売業、医療・福祉業などでアップしている。業種によって回答数に差があり、一概に「強い傾向が表れている」とは言えないが、変化は見られた形だ。
新型コロナで国内景気の冷え込みは深まっている。5月15日にはアパレル大手のレナウンが経営破綻。感染拡大以降、国内の上場企業の倒産は初となった。帝国データバンクは、今年の倒産件数が7年ぶりに1万件を超すとの見通しも示している。4月1日発表の日銀短観でも、主要企業で景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数が7年ぶりにマイナスとなった。3カ月後の景況感はほとんどの業種でマイナスとなっていて、今後、新卒採用の抑制が広がる懸念もある。
08年のリーマン・ショックの後や、1990年代後半から00年代前半の就職氷河期には企業が採用を絞るなどしたが、すでに「リーマン・ショックの再来」や「第二の就職氷河期」という言葉も出始めている。新型コロナは今後の新卒採用にどの程度影響を及ぼすのだろうか。
■極端な採用減はない
マイナビHRリサーチ部の東郷こずえさんはこう見る。
「ここ数年人手不足が続いていて、ほとんどの企業が採用予定数を達成できていない状況が続いています。22年採用以降についてはまだ不確定な要素が多いですが、少子化によって今後も学生数は減少トレンドであることなどから、就職氷河期やリーマン・ショックのときのように、極端に新卒採用を減らすことにはならないと推測しています」