三宅裕司(みやけ・ゆうじ)/1951年、東京都生まれ。幼い頃から日本舞踊、長唄、小唄を習う。明治大学経営学部へ進学し落語研究会に所属。79年に劇団「スーパー・エキセントリック・シアター(SET)」を旗揚げし、主宰となる。テレビ、ラジオ、舞台で活躍。2004年から伊東四朗、渡辺正行、小倉久寛らと「伊東四朗一座」「熱海五郎一座」を座長として上演。シリーズ第7弾「Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー~日米爆笑保障条約~」の公演が待たれるなか「三宅裕司公式YouTubeチャンネル」を開設。(写真提供:アミューズ)
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三宅裕司YouTubeチャンネルのメインビジュアル。8歳の三宅さんが日舞を踊っている

 こんなときだからこそ、笑いの大切さを、とYouTubeチャンネルを開設した三宅裕司さん(69)。東京は神田神保町生まれ。芸事に囲まれて育った生粋の東京っ子の笑いのDNAを解き明かします。

【写真】8歳の三宅裕司が飾るYouTubeチャンネルのメインビジュアルがこちら

 インタビューの日、三宅裕司さんは座長を務める「熱海五郎一座」の6月公演の中止を発表した。

「いまだからこそ、絶対にやりたい!って思っていたんですけどねえ。今回はいつも以上にギャグもいっぱい入れて、相当おもしろいことになっていたんです。延期して、上演できるといいんですけど」

 遡(さかのぼ)ること2カ月前の3月中旬。マスク着用の厳戒態勢下で行われた公演の製作発表会見は爆笑の連続だった。記者も久々に大笑いし、笑いの大切さを身に染みて感じた。それだけに無念さもひしひしと伝わってくる。

 だが立ち止まってばかりもいられない。この日、三宅さんはYouTubeチャンネルの開設も発表した。ネットを通じて笑いを届ける新たな試みだ。まずは「熱海五郎一座」の出演者たち……渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博、深沢邦之と元宝塚の紅ゆずる、AKB48の横山由依によるオンライン座談会を配信。デジタルに不慣れな世代のドタバタが笑いを誘う。

「ま~あ、はじめるまでに時間がかかりました。どうしても画面が横になっちゃうヤツとか、突然画面ごと消えちゃうヤツとか。コンテンツはまだいろいろ考え中です。リモートでコントができれば一番いいと思うんですけどねえ」

 YouTubeチャンネルのメインビジュアルは三宅さんが8歳のときの貴重な写真だ。真剣な表情で日舞を踊っている。

「うちの母がSKD(松竹歌劇団)出身で日本舞踊のお師匠さんだったんです。母の妹もSKD出身で旦那さんは作曲家。芸事が周りに溢(あふ)れていました」

 三宅さんは1951年、東京・神田神保町に生まれた。6歳上の兄がいるが、本当は5人兄姉のはずだった。

「兄2人と姉1人が亡くなっているんです。戦後の食糧事情や、いろんなことでね。だから最後に生まれた僕はものすごく可愛がられ、おだてられて育った」

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