社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第3回。
今回は、新型コロナウイルスの影響で懸念される「失業」について、今まで経験のない人に向けて、事前に知っておいてほしい社会保障の基本的な手続きの知識や免除などの措置について説明します。
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全国的に自粛が解除され、明るい兆しも少し見えてきましたが、経済についてはまだまだ安心できません。
総務省が発表した4月の完全失業率は2.6%。2017年12月以来2年4カ月ぶりの高水準となっています。世界を驚かせたアメリカの14.7%(4月)という衝撃的な数字には及びませんが、雇用制度が違うとはいえ日本もこれから予断を許しません。
■失業したらすぐにしないといけない手続きは
今まで転職や解雇や倒産などによる失業を経験していない人は、いざ自分がその立場に立ったときにどのような手続きが必要か、また失業時の社会保障などについてあまり詳しくないということも多いと思います。
今回は、これらの人に向けて、何をすべきか、どのような申請が必要かの流れと概要をまとめたいと思います。
【失業後の主な手続き】
・ハローワークでの失業給付受給手続き
・健康保険の切り替え
・国民年金の手続き
※会社の倒産などで未払い賃金がある場合は「未払賃金立替払制度」利用の申請
大きく分けると以上の3つが失業後、早急にやらなければならない手続きです。失業給付と未払賃金立替払制度についてはこの連載の第1回で解説しました。
今回は主に健康保険と年金について解説します。この社会保障も新型コロナウイルスの影響で政府は特例措置を打ち出しています。
■3つのパターンから選ぶ健康保険の切り替え
失業すると、会社の健康保険から抜けることになります。間をあけず転職すれば問題はありませんが、失業期間がある場合は、すぐに何らかの健康保険に入らないと3割負担で済んでいた診察や検査、処方薬代など治療にかかるお金のすべてが自己負担になります。
大きなけがや病気で高額な治療費がかかった場合に適用される保障制度も基本的には使えません。自分や家族にいつ何があるかわからない以上、これはすぐに手続きしないといけません。