そんな逆境にあっても、プロ野球タイの1軍公式戦22年連続勝利の快挙を達成し、02年以降の低迷期も101勝を積み上げたが、大台には届かなかった。もし、この14年間、毎年2勝ずつ上積みされていれば、プラス28勝でちょうど200勝。「08年のFA宣言時に阪神に移籍していれば、200勝できていただろう」と残念がる声も多かった。

 だが、三浦自身は「それはないですよ。他球団に移籍していれば、もっと早く引退していた可能性もありますから。横浜にいたから25年間も投げられたんです」と否定し、16年の引退会見でも次のように答えている。

「(12年に)150勝したときも言いましたけれども、本当に横浜に残って良かったなと。たくさんのファンの方が喜んでくれる、喜んでくれた、支えてくれたというので、三浦大輔は本当に幸せ者だなと思います」。大記録をつくることよりも、もっと大切なことがあると実感させられる言葉である。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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