試しに「PTA」+「カウント」でツイートを検索したところ、同様の声がばんばん見つかりました。多少意訳しつつ引用させてもらいます。
「立候補で(クラス)役員になったんだけど、コロナの影響で一切活動していないのね。それでも役員やったカウント入るよね? なかったことにならないよね?」
「今年はコロナで出張がなくなると踏んで、(クラス)役員に立候補した。今年しかない。
なのに、カウントに入れないとか言われたら、泣く……」
「今年度、くじ引きで委員長になってしまった。コロナでまだまともに活動できてないけど、役員引き受けたカウントには入るらしい、よかった」
ああ、みんな、めちゃくちゃ真剣だ……。母親たちは皆、「PTA=必ずやらなきゃならない(母)親の義務」という前提でつくられたルールや仕組みのなかで、「いかに最小限の負担で義務をこなすか」を考えているのです。
わかりますよ、気持ちはわかる。そんな母親たちを、責める気にはなれません。
でもね。その「前提」が、そもそも間違っていることに、どうか気付いてほしい……。
本当は「PTA=(母)親の義務」などではないのです。やりたくないなら活動しなくていいし、やりたいなら、カウントされるかどうかなんて気にしないで活動すればいい。
でも、その間違った前提でつくられたルールや仕組みが固定化し、いまや強大な力をもっている。そのため母親たちは、PTA活動が減る意味を考えるよりも、「自分が周囲の母親たちから義務を果たしたと認めてもらえるかどうか」ばかり気にしてしまうのです。
だからたしかに、「今年度のPTA活動、ポイントつく?」は、「バナナがおやつかどうか」と似た不毛な問いではあるものの、現実に日本の母親たちは、「バナナがおやつかどうか」を真剣に悩まざるを得ない状況にあるわけです。
それが悲しいし、とてももどかしいです。
(文・大塚玲子)
【文末】
●大塚玲子(おおつか・れいこ)/PTAや家族などをテーマに取材を続けるジャーナリスト。全国各地で行う講演会「PTAをけっこうラクにたのしくする方法」も好評。著書に『PTAがやっぱりコワい人のための本』など
●2コマでPTAを叫ぶ母/関西在住の主婦。子どもが通う学校でPTAの本部役員を引き受けた経験から、ブラックPTAを改革すべく自作マンガを日々ツイッター(@PTA_no_black)で発信中! ※内容は実体験に基づくフィクションです