5年ほど前には、後継者と目した人物とのトラブルもあって2億円の損失が出たが、持ち前の踏ん張りで会社を立て直した。明るく温和で、天真爛漫な人柄。だが、假屋崎さんは、一度だけ別の顔を見たことがある。時期は忘れたというが、
「頑張るしかないでしょう」
と、歯を食いしばるようにしてつぶやいた姿を強く記憶している。
佐伯さんはALSの症状が出た後も、ぎりぎりまで講演で全国を回った。車椅子に座り、取材や仕事の打ち合わせを続けた。
5月に入ると、言葉がうまく出なくなった。最愛の夫に先立たれたとき、「夫と一緒になりたい」と、佐伯さんが遺骨を食べたというのは有名な話。夫の命日である5月10日が近づいたある日、佐伯さんは亡き夫に向かって、
「迎えに来てね」
と話したという。
假屋崎さんは、天国の佐伯さんに届けたいメッセージがある。
「向こうで再会したら、今度は旦那さんも一緒にビューティートリオを組んで、またたくさんの『キレイ』を探しに行きましょうね」
(本誌・永井貴子)
※週刊朝日 2020年6月26日号