「飲酒に新型コロナ感染症の予防効果はありません。むしろ今後は“嗜む”ときほど感染対策をより意識して。酩酊して病にも感染したのではそれこそ最悪です」(真栄里さん) イラスト・坂本康子 (週刊朝日2020年6月26日号より)
「飲酒に新型コロナ感染症の予防効果はありません。むしろ今後は“嗜む”ときほど感染対策をより意識して。酩酊して病にも感染したのではそれこそ最悪です」(真栄里さん) イラスト・坂本康子 (週刊朝日2020年6月26日号より)
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これは3つの危険なサイン (イラスト・坂本康子 週刊朝日2020年6月26日号より)
これは3つの危険なサイン (イラスト・坂本康子 週刊朝日2020年6月26日号より)

 コロナ禍、家で過ごす時間が増えたことがきっかけで、お酒がついつい毎日の習慣になってしまったという人も多いことだろう。しかし過剰な飲酒は健康のためにも考えもの。ストレスでアルコールに飲まれるような、最悪の飲み方からの脱出法を探る。ライフジャーナリスト・赤根千鶴子氏が専門家に聞いた。

【アルコール依存「3つの危険なサイン」はこちら】

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 緊急事態宣言は解除されたが、コロナと私たちの闘いに終わりが告げられたわけではない。まだ相当イレギュラーな暮らし方・働き方を強いられている人も多いからだ。

 外出自粛が始まって以来、ネット上には「家にいる時間が長くなり、ついつい昼間からお酒を飲む習慣がついてしまったので心配」といった、お酒関連の投稿も相次ぎ、話題になった。現状はどうなのだろうか。

 依存症からの回復を支援する一般財団法人「ワンネスグループ」の共同代表・三宅隆之さんは言う。

「アルコール依存を疑う相談件数は、コロナ禍の影響が明らかに数字に表れています。2019年平均は毎月約35件でした。私たちの相談チャンネルは電話、メール、LINEです。20年3月の相談件数は58件となり、4月が60件、5月が96件と急速に増えています」

 もちろんコロナに関係ない、お酒の相談もある。しかし相談内容の中には、若い世代、シニア世代に関係なく、「在宅勤務で手を伸ばせば届くところにお酒があるからつい飲んでしまう」「コロナ禍で家でやることがないから、ついつい飲んでしまう」「家で四六時中家族と一緒にいないといけないのがつらい」というように、いままで適度に外で発散できていたストレスがうまく発散できなくなったり、晩酌で済んでいたお酒がそれで済まなくなってきたりして、それを懸念した妻や子どもが相談してくるものも多いという。

 ストレス、葛藤、もしかしたら自分や自分の大切な人が命を落としてしまうかもしれないという不安が私たちのまわりには常にある。

「そんな中アルコールは『心の痛み止め』として機能し、心配なことが一時的にでも忘れられるからいいのでしょう」と語るのは、臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖さんだ。

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