いつ息継ぎすんのかってくらい一気に料理の説明と感想を、我も我もとまくし立てる。グルメドラマの原点というか、「美味しんぼ」スタイルが懐かしい。
どんどん表現が過剰になっていき、実際の味がまったく想像できないファンタジー感。思えば、そんなグルメものの真逆を突いたのが同じくテレビ東京の「孤独のグルメ」だった。
実在する店を訪れ、そこにあるホンモノの料理を食べ、その感想をひたすら静かに心の中で独白する。なんだったら自分もその店に行って同じ体験をできる。
そんなリアル系がすっかりグルメものとして定着したけれど、くどすぎる食レポ合戦も久々見るとやっぱり馬鹿馬鹿しくも楽しい。
だってオコゲ・ラーメンとか「こってりしたとんこつスープにプルプルの太麺で、そこにカリカリのオコゲが加わることで二つの食感が楽しめる。オコゲの味付けのカツオ出汁が溶け出して味変。山あり谷ありで口を飽きさせない創意工夫。これはラーメンライスの進化形だあ!」て、言ってるうちにラーメン冷めそうよ。
あとオコゲがスープの中でバラけたらどうなるの? オコゲじゃなくてオジヤ・ラーメンでは?と、どうでもいいけど気になった。
※週刊朝日 2020年6月26日号