東京都内の高層マンション群 (※写真はイメージです) (c)朝日新聞社
東京都内の高層マンション群 (※写真はイメージです) (c)朝日新聞社

 エレベーターや玄関など、なにかと共有部分が多いマンション。新型コロナウイルスと共存する時代となり、戸建て住宅とは違う感染リスクが心配だ。安心して暮らせるかどうかは、マンション住民でつくる管理組合の“意識の格差”が影響しそうだ。

 東京大学の保健センターのウェブサイトによれば、「空気感染」は感染者から排泄された飛沫核を吸い込むことで感染するほか、病原体に汚染された土壌や床から舞い上がったほこりを吸い込むことで感染する。「飛沫感染」は咳などで出た飛沫を吸い込んだり、目などの粘膜に付着したりすることで感染する。患者との接触や、病原体のついたドアノブなどを介するのが「接触感染」だ。今回のコロナの感染経路は、飛沫感染と接触感染が主で、飛沫核を吸い込む空気感染も起こりうると指摘する。

 実際、コロナ感染と隣り合わせのマンションでの生活は苦労が絶えない。

「エレベーターにはあまり乗らないようにするという方もいるようです。エレベーターの換気扇は上から空気が下りてくる構造で、冬場はけっこう寒く感じて止めていることがあります。こちらのマンションでは新型コロナ問題が出てきて、通常よりも早い時期から換気扇を稼働させるようにしてもらいました」

 自宅マンションの管理組合で理事長を務める住宅ジャーナリストの山本久美子さんは話す。さらに、感染リスクがあるとみられるのが、マンションのごみ置き場だ。「外出自粛で自宅マンションに滞在する時間も長くなり、ごみも多く出るようになっています」。使用済みマスクやティッシュペーパーなどのごみを密閉状態で適切に廃棄処理しないと、ウイルスをばらまく恐れもありうる。

 もっとも、マンションの共有部分などは感染予防対策をとるにも、個人ベースで消毒などの対応をできず、管理組合や管理会社まかせとなってしまう。それでも、「防災などと違い、管理組合が動くことは少なく、難しい」(山本さん)というのが実情だ。

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