内定者40人強のうち半数程度の参加を見込んでいた。だが、リアルな情報や学生同士のつながりを求めていたのか、8割近くが参加を希望した。ネット環境に不安のある学生には事前にWi-Fi機器を郵送。参加者には一律で6千円を支給し、ウェブカメラなど必要機材も揃えてもらい、万全の準備を整えた。

■活用しない手はない

 本番当日、学生たちに与えられたテーマはずばり、「不動産業界のシステムをアフターコロナ時代にアップデートせよ」。Zoom上で3、4人ずつのチームに分かれ早速、作業が始まった。記者ものぞかせてもらったが、全員初対面という環境にもかかわらずメンバーはすぐに打ち解け、作業もスムーズに進んでいた。2日目の夕方には最終プレゼンと懇親会。すべてがオンラインで完結した。

「僕のチームには秋田と東京と名古屋から参加していて、こういうことができるのもオンラインならでは。課題解決やこれからの働き方をリアルに体験できたのでとてもよかった」(公立大大学院の男子学生)

 WHIの最高人財責任者、野田公一さんは、大きな手応えと発見があったと話す。

「このノウハウを活用すれば、今までリーチが難しかった地方在住や海外に留学している学生にもアクセスできることがわかりました。今後の採用でもオンラインを活用しない手はありません。学生たちは取り繕った採用イベントでは見えなかった企業の本質や、IT面での対応力などを冷静に見極めるようになるでしょう。一方で学生自身もオンラインでのコミュニケーション能力やITリテラシーが問われることになる」

 コロナ禍での状況激変をチャンスにできるかどうか。企業も学生も試される。(編集部・石臥薫子)

AERA 2020年6月8日号

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