
今年、インディーズデビュー10周年を迎えたSEKAI NO OWARI。6月24日発売のシングル「umbrella/Dropout」に収録される3曲は、昨年末から制作を始め、コロナ禍で多くの人が自分を見つめ直しこれからを模索するなか、完成に至った。AERA 2020年6月29日号の記事から。
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──インディーズデビュー10周年ということで、過去を振り返る機会も多いのでは?
Nakajin:今年発売予定だったベストアルバムを来年に延期したんですが、そのベスト盤に特典として付けるために「図鑑」(完全生産限定プレミアムBOX収録の“History of SEKAI NO OWARI”)を作ったんです。僕らが幼なじみとして過ごしていた頃から、バンド結成、デビュー前にライブハウス「club EARTH」を自作して住み込みで運営していた時代……これまでのことを全部掘り返して。Club EARTHの頃は風呂がないからシンクで頭を洗ったり、学生なのに消費者金融でお金を借りたり、よくやってたなと(笑)。ものを知らないから、そして仲間がいたからこそできた。
Saori:よくあんなところに住んでたな、と思うよね(笑)。
Fukase:でもきっと、人生を何回やり直しても同じことをしているんだろうなと思います。
──今回のCDにも、過去や原点を見つめ直すという意味は込められていますか?
Fukase:3種類あるうちの一つ(初回限定盤B)のジャケットは蛾がモチーフなんですね。蛾は自分のルーツに関係があって、過去の作品でも大切に使ってきました。「Dropout」という曲は、僕が精神病棟に入院して世の中からドロップアウトしていた10代の頃を歌ったものですけど、言ってみれば蛾は「あの頃の自分」です。
──長引くコロナ禍により、皆さんの活動にも大きな影響がありました。
Nakajin:ドームツアーの中止とベスト盤発売の延期が決まって、ファンの方にどう伝えようかと悩んでいたときに、Fukaseが「リアルタイムで直接声を届けよう」と。それで、4人でLINE LIVEをやりました。悪い知らせを直接言うのは僕ら自身つらいし、勇気がいる。聞く側だって嫌だろうなと思って緊張していたんですが、終了後に届いたメッセージには温かいものが多かったんです。Twitter上では「#セカオワありがとう」というハッシュタグがトレンド入りしていて、ああ、たくさんの人のおかげで僕らはここまで来られたんだなという想いを、改めて強くしました。