沖縄県民の明確な反対を受けても政府が突き進んできた辺野古沖の米軍新基地建設。だが、ここに来て自民の防衛族から見直しの声が上がっている。AERA 2020年7月6日号では、防衛相や沖縄県知事、元大臣や国会議員らが主張する辺野古問題の見解をまとめた。
【写真】海底に「マヨネーズ並み」の軟弱地盤が見つかった辺野古沖の米軍基地建設現場
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政府が秋田、山口両県への地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画停止を決めたことなどをきっかけに、安倍政権が沖縄で推進している辺野古新基地建設にも疑問の目が向けられている。背景には、新型コロナウイルス対策に巨額の国費を投入するため、防衛費を圧縮せざるを得ない政府の事情がある。
「開発の費用や期間を考えれば、残念ながら配備は合理的でないと言わざるを得ないと判断した」
6月15日の会見で河野太郎防衛相がイージス・アショアの配備計画を停止する理由に挙げたのは、迎撃ミサイルを打ち上げた際に切り離す推進装置「ブースター」の落下だ。候補地の山口県に対し、防衛省は自衛隊の演習場内にブースターを確実に落下させると説明してきたが、「ハードウェアを改修しなければ、確実に落とせると言えなくなった」(河野氏)というのだ。
イージス・アショアは本体2基の購入費や30年間の維持費など、米国への支払い分だけで4664億円を見込んでいた。ここに用地取得費用などが加わる上、ブースターを演習場内に落とすための技術改修には2200億円以上を要すると試算され、停止の判断に至った。
沖縄県の玉城デニー知事は翌16日、「コストと期間を考えたら、辺野古の方がより無駄な工事ではないか」と政府の二重基準を批判し、「普天間(飛行場)は即時閉鎖、返還、運用停止を」と訴えた。
辺野古新基地建設について国は昨年12月、工期はこれからさらに12年かかることや、2014年時点で「少なくとも3500億円以上」としていた総工費も9300億円に修正した、と発表。イージス・アショアを上回る巨額の血税が注ぎ込まれるが、政府は推進姿勢を変えていない。