高齢化にともなって増加しているパーキンソン病。ふるえなどの運動症状で気づく人が多いが、便秘や嗅覚の低下などの非運動症状も、診断の目安になるという。原因や症状について、週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』では、専門医に取材した。
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厚生労働省が指定する難病の一つであるパーキンソン病。人口千人あたり1~1.5人、60歳以上では100人に1人、80歳以上では100人に3人の有症率で、高齢者に多い神経疾患だ。頻度は低いが、40歳以下で発症することもあり、若年性パーキンソン病と呼ばれる。若年で発症する場合は、遺伝との関連が深いと考えられている。
パーキンソン病は進行性の病気で、症状が進むと、歩けなくなったり、認知機能の低下がみられたりすることがある。「寝たきりになるのか」「一生症状に悩まされ続けるのか」など、診断されたときのショックは大きい。
しかし多くの場合、進行はゆるやかであり、さらに適切な治療をすれば症状の進行を遅らせることができる。薬物療法やリハビリにより進行を遅らせることが可能なため、早期から治療することが大切だ。症状をコントロールできれば、長期にわたって通常の日常生活が送れ、仕事を続けることもできる。
パーキンソン病は、神経伝達物質の一つであるドパミンが不足することで起きる病気だ。ドパミンは、大脳の下の中脳にある「黒質」と呼ばれる組織でつくられる。黒質はメラニン色素が集まるために黒く見えるが、パーキンソン病患者の中脳を顕微鏡で見ると、黒質の色が薄くなっている。ドパミンは運動機能に関わるため、減少すると、からだが動きにくくなるなど、さまざまな運動症状が出る。
パーキンソン病の人が最初に気づきやすく、受診のきっかけとなりやすい症状が、手、足、あごなどのふるえ(静止時振戦)だ。じっとしているときに症状が出て、動くとおさまりやすい。「右手だけ」「右足だけ」など片側から始まり、やがて対側に広がっていく。