大きな話題になっているノンフィクション『女帝 小池百合子』。著者の石井妙子さんは、小池百合子さんのような人はたくさんいると言います。一体どういうことなのでしょう。作家の林真理子さんが詳しく聞きました。
【「小池百合子をつくった日本社会の問題点」『女帝』著者・石井妙子が斬る!】より続く
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林:都知事の座に座るぐらいならいいんじゃないかと思うんですけど、ダメ?(笑)そりゃ総理はちょっと困るけど。
石井:私は、ああいう政治家がいるのはちょっと問題じゃないかと思いますね。ただ、私も林さんと同じで、小池さんに同情する気持ちはあります。告発した早川玲子さん(仮名)という方……。
林:エジプトで小池さんと同居していたという方ですね。
石井:はい。あの方も小池さんのことを「小池さんの罪は憎んでいるけれど、小池さんを憎んでいるわけではない」とおっしゃるんですね。むしろ小池さんを心配しているというか、「これで人生を終えてしまっていいんだろうか。私がもっと注意してあげればよかった」とおっしゃるんです。
林:まあ、そうなんですか。
石井:私も本を書きながら、小池さんに対して「どうして?」と思うところはあったんですけど、最後のほうは、傷ついた女の子が「お嬢さま育ちで優秀できれいで英語もペラペラ」という憧れのキャラクターを自分の頭の中で考えて、“小池百合子”を必死になって演じてるんだと思うようになったんですね。そんな女の子に「じゃあ私、どういう人生を進めばよかったの?」と言われてるような気がして。
林:わかります。あそこまで厳しく書かれていても、ある種の愛情というか、その感じはすごくあると思いました。だから私、読み終わったあと、つい「頑張ったじゃん」って言いそうになって……。
石井:ただ、このままだったら第二、第三のミニ百合子が、男でも女でも出てきて、社会はどうなるのか。小池百合子さん的な人って、たくさんいると思うんです。それがこの本が読まれている一つの理由かなと思うんですが。
林:いっぱいいます。出版界にも。誰とは言いませんけど(笑)。