休校や外出自粛で、子どもたちがゲームやSNSをする時間が急増した。近年はSNSを通じて子どもが性犯罪などに巻き込まれるケースが増えており、より注意が必要になりそうだ。ネットに潜むリスクに迫ったAERA 2020年7月6日号の記事を紹介する。
* * *
子どもの性被害では、児童ポルノ被害も年々増えている。警察庁の発表では昨年、ポルノ被害に遭った子どもは1559人と過去最多となった。中でも、全体の40パーセント近い584人が、裸や下着姿の写真を送信させられる「自画撮り」被害に遭っていた。内訳は高校生が242人、中学生290人、小学生41人。高校生と小学生は前年から微減したが、中学生は逆に51人増えた。
ある中学3年の女子生徒は今年、10歳年上の男と出会い系アプリで出会い、趣味が合ったのでLINEでやりとりを始めた。しかし、やがて男の束縛が激しくなり「俺の彼女だ」と言い、「ブラジャーをつけた胸の写真を送って」などと言ってきた。断ると、「俺のことが嫌いなのか」と泣く。勉強が忙しくて面倒くさくなった女子生徒は写真を送り、その後、他に彼氏ができたと嘘をつき別れることができたが、不安を口にする。
「私の家族のことも住んでいる場所も本名も年齢も言っているので、彼を振った腹いせで何かされたらどうしようと思うと怖くて」
そもそもなぜ、面識のない人に裸の「自画撮り」を送るのか。理由を、SNSを活用した子どもの悩みなどの相談に乗るNPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」のカウンセリングセンター長、新行内(しんぎょううち)勝善さん(51)さんは言う。
「自画撮り被害に遭うのは、現実の生活で交友関係が少ない子が多いです。『断る』というソーシャルスキルが身についていないというのもありますが、そうした子どもはネットでの関係がすごく大事なので、ネットで親しくなった人に言われたら断れない。ネットでのつながりがなくなるのは、もう生きていけなくなるくらいの怖さに感じてしまうため、言われるままに送ってしまうのです」