でもそれは、それだけ会社中のひとたちを動かしたということの証(あか)しなのです。会社中のひとが協力してくれたからこその、ヒットなのです。

 私自身は昭和40年代から50年代にかけて、自らが考案したファンデーションや美容液が大ヒットするという幸運に恵まれましたが、やはりひとつの企画が「成功」の土台に乗ったときは“これは成功するな”という瞬間が、必ずあるものです。

「この企画、いいね」
「売り上げの計画を練り直そう」
「よし、営業は営業で売るからな」

 関わる人間すべての中に「これは、いける」という閃光(せんこう)が走るときがあるのです。

 そこからは「皆の成功」。「皆で手を取り合ってつくりあげる成功」です。

 ここに持っていくまでが一番大変なのですが、ひとりよがりではものごとは動きません。自分の「思い」を形にするには、ひとを動かしていくこと。これは何も、会社員に限ったことではないのですが。

【しなやかに生きる知恵】
ひとつ成功したら、間髪入れずに次の成功もこの手で勝ち取る気持ちを忘れずに

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小林照子

小林照子

小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数

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