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秘書が選挙区内で香典などを渡していたとして、公職選挙法違反の疑いで刑事告発されたが、不起訴処分(起訴猶予)となった前経済産業相の菅原一秀衆院議員。しかし、元検察官の郷原信郎弁護士は「検察審査会に持ち込まれれば起訴になるのでは」と語る。週刊文春では「別の新たな公選法違反(寄附行為)の疑いが浮上した」と報じられている。このまますんなりと終わるのだろうか?
菅原氏が不起訴だった理由については、大臣を辞職し、先の会見で事実を認めて謝罪したことが考慮されたと報じられた。この点について郷原氏は、こう指摘する。
「情状酌量する理由には全くならない。『9割ほどは自ら持参し、参列できない場合に秘書に渡していた』とされていますが、『選挙区内の弔事を把握したら菅原氏の指示で秘書が香典を持参し、親しい人の場合だけ菅原氏本人が参列』と元秘書の2人が証言しています。葬儀の機会に有権者に金をバラまいていただけです」
11年前、菅原氏のメロン贈答疑惑を本誌は「送り先リスト」を入手し、スクープした。2009年8月14日発売の本誌では、「検察・警察が捜査しない、自民党『スキャンダル』3連発」という特集記事の中で、「菅原氏『お中元リスト』の重大疑惑」という見出しで疑惑をこう報じていた。
<本誌が入手した「送り先リスト」には、後援者や同僚議員たちの名がズラリと並んでいた。その数、200人以上。そして、その一人ひとりに、「メロン」「ミカン」「カニ」「タラコ」「スジコ」「ロイヤルゼリー」……などと贈った品目が記載されている・・・ところが、このリスト、実は大きな”疑惑”をはらんでいた。菅原氏の選挙区である東京9区(練馬区)に在住する『有権者』が多数入っているのだ>
それから10年後の昨年10月、週刊文春が選挙区内の有権者にメロン、カニ、いくらなどを送っていた贈答品リストの存在を報じ、その後、香典疑惑について報じると、ついに菅原氏は経産相を辞任せざるを得なくなった。