■仰天と感激の連続だった「夢空間」乗車記

「なにこれ? まるでディズニーランドじゃないの!」

 列車がホームに入線するや、連れが歓声を挙げた。「ディズニーランドはちょっと違うような……?」と苦笑したが、非日常的な物体を目の当たりにした驚きは十分に伝わってきた。もとい、私としても贅沢かつ貴重すぎるメインディッシュとのご対面に興奮が隠せない。改札のさい、駅員が「おっ?」という面持ちで寝台特急券を見つめていたのも、ちょっとした優越感だったりもしたが……。

「北斗星トマムスキー号」トマム発横浜ゆき。スケジュールの関係から、全区間の乗車を断念し、苫小牧から新宿までをこの列車で過ごす。奇跡のブッキングを果たしたのは「夢空間」の「スーペリアツイン」である。

 さっそく部屋を訪れる。10センチほど高床になっている自室に、靴を脱いであがる。連れはベッドの座り心地やらバスルームの探検やら、私以上に手当たり次第という風情だが、「ちょっと、電話よ、電話!」と室内の壁に据え付けられたカード式電話に驚いていたようだ。当時は携帯電話などSFの世界にすら見当たらなかった時代である。使う使わないはともかく、面白いサービスだなとは思ったものだ。

 発車して間もなく、葡萄酒やつまみなどのルームサービス。「北斗星」の「ロイヤル」などでお馴染みだったイベントだ。

「ソファに座ってるとテレビしか見えないね。それに少し硬くて小さいし」

 乾杯しながらそんな感想も。最高級の「エクセレントスイート」には対面式のソファセットがあるのを雑誌を通して知っていたが、多少の不満もまた鉄道車両の楽しさではないかと思った。

 夕食は予約制ではなかったので、ころあいをみはからいつつ食堂車へ。しかし、その手前にあるラウンジカーに腰を据えてしまった。連れはレストルームの豪華さに驚き「ちょっと、ちょっと!」と手招きをするが、スペースといい調度といい、一流ホテルのそれに引けを取らないレベルの仕上がりに、私もまた仰天。

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青函トンネル通過中に至福の時が