数々のラテンアメリカの映画賞を受賞した「ぶあいそうな手紙」。ラテンアメリカの映画史に残る傑作「苺とチョコレート」の原作者セネル・パスが脚本に協力したことでも話題になった。音楽はブラジル音楽のレジェンド、カエターノ・ヴェローゾが担当した。
ブラジル南部ポルトアレグレの街。エルネストは78歳の独居老人。隣国ウルグアイからやってきて46年。頑固で融通が利かず、本好きのうんちく好き。老境を迎え目もほとんど見えなくなってきている。
このまま人生を終えるだけ、と思っていたある日、一通の手紙が届く。差出人はウルグアイ時代の友人の妻ルシア。エルネストは偶然知り合った23歳のブラジル娘ビアに手紙を読んでくれるよう頼む。“手紙の読み書き”のために、一人暮らしのエルネストの部屋にビアが出入りするようになる。それは彼の人生を変える始まりだった。ワケありのビア、唯一心を許せる隣人ハビエル、折り合いの悪い息子ラミロ。皆に心を正直に伝えられないエルネストは……。
本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
視力を失いつつある78歳老人が若い娘に振り回され、嬉しさに思わずそわそわする姿が可愛い。老いと若さの出会いから生まれたささやかな幸せ。でも長年生きてきた大人には自分の行く道はわかっているという結末も良い。