■50歳を超えたら片目でチェックを

 滲出型は、進行が速く、「ある日突然、新生血管から大出血して急激に視力が低下し、失明することもある」と飯田医師は話す。

「ただし、加齢黄斑変性による失明は、真っ暗になり何も見えなくなる失明ではありません。黄斑部が障害されると視力は低下しますが、網膜のほかの部分は正常なので、視野は確保されます。光は入りますし、まわりはぼんやり見えますが、文字が判読できないなど、肝心の見たいものは識別できないため、日常生活に支障が出ます。視力が0・1以下の、このような状態を“社会的失明”といいます」

 このように放置すると失明のリスクがある病気だが、滲出型の加齢黄斑変性には治療法がある。2008年から、眼球に注射する「抗VEGF療法」という治療法が登場し、早期発見すれば病気の進行を抑え、視力を維持することが可能となった。「だからこそ、早期発見を目指してほしい」と両医師は口をそろえる。

「昔は良い治療法がなく不治の病と言われていましたが、今は診断技術も治療法も進歩し、早期発見・早期治療により失明を防ぐことができます。ただ、早期発見のためには見え方の変化に気づくしかないため、50歳を過ぎたら“片目でまっすぐなものを見る”習慣をつけることをおすすめします」(小椋医師)

(文・出村真理子)

≪取材協力≫
名古屋市立大学病院 眼科教授 小椋祐一郎医師
東京女子医科大学病院 眼科教授 飯田知弘医師

※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より