だが、どの程度の人出になるかは予測できていない。

「関東の海水浴場が閉じてしまうので、まったく読めない状況です。7月の4連休で、状況を見極めたい」(同前)

 4連休で想定を上回るほど混雑した場合は、運用を変えて対応するという。ただ、

「首都圏では感染者が右肩上がりに増えているので、緊急事態宣言の発出などがあれば、海を閉じざるを得ない」(同前)

 伊豆地方でも海開きを見送った自治体はある。河津町には2つの浜があるが、うち1つの「河津浜」の開設を見送った。同町産業振興課の担当者は「今年は十分な数のライフセーバーを集められなかったため、見送った」と理由を話す。

 例年、ライフセーバーの多くは首都圏の学生から集めているが、コロナ禍の今年は「越境」してまで住み込みで働くことをためらう学生も多い。そのため、「(ライフセーバーが減った分)期間と場所を絞って開催することで、安全を確保することにした」(同前)という。

 市内に2カ所のビーチがある伊豆市は、例年よりも1カ月以上遅い8月1日から海開きを行うことにしたが、その理由も「ライフセーバー不足」だという。市の担当者によると、例年は550人前後のライフセーバーを集められるところ、今年は150人ほどに激減。その人数でも安全を担保できるよう、足の着く範囲に遊泳エリアを狭めるという。

 感染対策については「砂浜が広いため、利用者間で十分な距離を保てると見込んでいる」(担当者)として、これまで通りの設備で開設するという。

 ソーシャルディスタンスとされる「2メートル」四方の空間は、4平方メートル。同市が有する「土肥海水浴場」の浜の面積は約3万2千平方メートルで、ピーク時の利用者数の約5千人で割ると、1人当たりの面積は6.4平方メートルとなる。4平方メートル以上のため、十分な距離を確保できるという理屈だ。

 ただ、担当者はこう本音を漏らす。

「感染リスクをゼロにすることはできません。それに当市はまだ感染者がゼロなので、もし海で感染者が出たら、市民の不安が大きくなるのではないかと心配です」

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「クラスターが発生すれば壊滅的な痛手になる」