林:あの大スターと夫婦の役ですもんね。社長が見つけた薬師丸ひろ子さんと原田知世さんと渡辺典子さんが「角川三人娘」と言われてましたよね。あれから40年近くもたつのに、皆さん相変わらず素敵でした。薬師丸ひろ子さんは大女優になって、原田知世さんはピュアなままだし。
角川:ただ、いちばん気になったのは、映画を見て原作者(高田郁)がどう思うかということ。まったく原作どおりではないんで、原作をベースにしながら、原作以外のこともやってるんですよ。たとえば薬師丸の役ね。滝沢清右衛門の女房のお百というのは実在の人物なんだけど、高田さんのほうでアイデアを出してもらってその役をつくった。渡辺典子に至っては、出演が決まったときに役をつくったんです。今回そういう役が多いんですよ。
林:音楽もよかったです。ユーミンが作詞作曲して、松任谷正隆さんが……。
角川:音楽監督。歌ってるのは手嶌葵さん。「時をかける少女」のときも正隆さんが音楽監督で、ユーミンが作詞作曲で、知世が歌ってたよね。
林:ユーミンはあのころから社長と仲良しでしたよね。
角川:うん、今でも。
【後編:「角川春樹78歳、子どもは7歳、ボクシングは週2 超人的能力に『俺は一体何者なんだ』」に続く】
■角川春樹(かどかわ・はるき)/映画監督、プロデューサー、角川春樹事務所会長兼社長、幻戯書房会長。1942年、富山県生まれ。65年、角川書店に入社し、70年以降、映画「ある愛の詩」「いちご白書」の原作本などを刊行。横溝正史の角川映画で一世を風靡した。主な作品に「犬神家の一族」「人間の証明」「悪魔が来りて笛を吹く」「金田一耕助の冒険」「戦国自衛隊」「野獣死すべし」など。最新監督作となる映画「みをつくし料理帖」が10月16日、全国公開予定。
(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)
※週刊朝日 2020年7月24日号より抜粋