「普段の生活に役を引きずること? ないです。この世界に入って20年以上過ぎていますから。芝居と現実の切り替えは、得意になったのかもしれない」

 かつては役に没入するあまりナイーブになることもあったと明かしつつも、「(最近は)その場その場を楽しめているせいか、日常生活もきちんと送れているような気がする」と、笑顔を見せていた。ただ、こんな謎めいた発言もしている。

「俳優って、ちゃんと生きているだけで要求に応えられない場合もあると思う。何かを失ったり、絶望したり。極限状態で生まれる鋭利な感情を求められたりもするから」

 冒頭の発言は、若い頃は「結婚は30までに」などと年齢を区切りと考えていたが、最近はその先に目を向けていると語ったもの。半年後、本誌での作家の林真理子さんとの対談では、「結婚しないかもしれないですけどね」とも語っている。今後については、こんな言葉を残していた。

「今はとにかく、体がいろんなことに触れたがって、いろんなものを吸収したがっているみたいで(笑)。そういう、本能的な欲求に素直に従うようにしています」

 それから1年余りでの、早すぎる悲劇だった。

(本誌・上田耕司、岩下明日香)

※週刊朝日 7月31日号

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