日本の友人から、おさがりのベビー服・子ども服をいただくことがあります。わたしの住んでいるアメリカでは見かけない、淡い色使いにシンプルな装飾。とてもかわいく、できることなら全部子どもに着せたいのですが、涙をのんでクローゼットにしまいこんでいる服もたくさんあります。着せたいのに着せられない理由、それは服にヘンテコな英語がプリントされているからです。
【図】「陣痛中の妻よりスマホゲーム」 “共感性欠如夫”の言動一覧
ヘンテコな英語は、個人的な観察によると以下6つのカテゴリーに分けることができます。順に見ていきましょう。
1、正しくない系
これは単純で、文法が間違っている英語のことです。Tell me the truth(本当のことを教えて)とすべきところ、定冠詞のtheが抜けて「Tell me truth」になっていたり、他動詞(takeやfollowなど)が目的語を伴っていなかったり。「Fruits is tasty」なんてフレーズもありました。Fruitsは複数形だから、動詞はisではなくareを使わなければいけませんよね。きっと日本語の「フルーツ」に引っ張られてisを使っちゃったんでしょう。
2、こなれていない系
文法は間違っていないけれど、不自然な表現を使っている例です。「Fruits is tasty」にも通じますが、日本語を直訳しちゃったのかな、という表現。Life goes on(人生は続く)という慣用句の代わりに「Life continues」といってみたり、Likes (好きなもの)と1語でいえることを「Things which I like」とまだるっこくしてみたり。「good paradise(良き天国)」のように、日本語でよく考えてみたら不自然なことがすぐわかるのに、という表現もあります。天国はそもそもgoodなるもので、良し悪しは評価できませんよね。
3、文脈ない系
子ども服というのは、子どもが着る服です。何を当たり前のことを? と思われるかもしれませんが、この当たり前の文脈を踏まえていない服が多すぎるのです。服は子どもが着るもの、だからプリントされているフレーズは<服を着ている子ども本人が、目の前の大人に向けて語ることば>にならなければいけません。それなのに、日本の子ども服では「Your smile is cute(あなたの笑顔、カワイイ)」や「I hope you have a good day(あなたの一日がいいものでありますように)」や「She loves flowers(彼女は花が大好き)」など、明らかに<服の製作者や購買者などの大人が、着ている子どもに向けて語ることば>になっていることが多いのです。ことばの言い手と聞き手が逆になっています。服を着ている子どもに「あなたの笑顔、カワイイ」と言われても、いやいやカワイイのはそちら様ですと言い返したくなります。