どれだけ家事を効率化しても、夫婦間での分担という大きな問題が立ちはだかる。在宅時間が増え、お互いが家事に取り組む姿が可視化されやすい今は、分担正常化の好機だ。AERA 2020年7月27日号では、専門家らに円滑な家事分担の秘訣を聞いた。
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家事シェア専門家の三木智有さんによると、家事分担には大きく分けて「シュフ型」と「担当型」の2パターンあり、どちらがやりやすいかを夫婦で考えて採用するのがいいと言う。
「シュフ型」はいずれかがリーダーとなって指示し、もう一方はサポーターとして動くやり方だ。夫婦の家事スキルの差が大きい場合などに向いている。「私は今から部屋の掃除をするから、あなたはトイレ掃除を」などと具体的に指示しよう。同じことを繰り返し、リーダーが掃除機をかけ始めたらサポーターはトイレ掃除を始めるというルーティンができればお互いラクになる。
「ポイントは、淡々とパターン化すること。自分が家事をしているのに相手がゴロゴロしているのを見て腹立ちまぎれに言ったりすると、お互いが嫌な思いをすることになる。また、今すぐ動かそうとするのではなく、『今日中にやって』などと、ある程度余裕を持たせると頼まれるほうも負担が減ります」(三木さん)
ただ、この「シュフ型」は頼むほうも頼まれるほうも、その都度ストレスを感じるのがデメリットだ。これを軽減する方法としては、タスクが発生するたびに頼むのではなく、家事をやるスケジュールをブロックする方法だ。「次の土曜の午前中はやることがあるから空けておいて」と伝えてもいいし、毎土曜の午前中は家事をする時間と決めてルーティン化すればよりスムーズになる。
一方「担当型」は、洗濯は夫、食事作りは妻といったふうに、タスクごとに役割を決める方法だ。この場合、相手のスケジュールに口出しするのは厳禁と三木さんは言う。
「担当を決めて任せたら、いつやるかについて口を出してはいけません。『いつやるの』『なんでやらないの』を繰り返すほど、相手はやらされ仕事と感じやすく、主体性を失ってしまいます。どうしても言いたいときは、『昼ご飯までには洗濯終わらせて』などと、ある程度幅のある締め切りを設定し、相手の裁量を奪わないようにしましょう」
ただ、家事負担が大きい人の多くは、「自分がやったほうが早いし、イライラしない」と、話し合う前にあきらめている節がある。