室井佑月・作家
室井佑月・作家
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イラスト/小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、毎年日本列島を襲う自然災害への備えと、有事を想定して購入した戦闘機を比べて考える。

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 今月、九州を襲った豪雨を、「数十年に一度の大雨」とテレビのニュースで聞いたような気がして(別の用事をしながらテレビをつけていたので)、それはほんとうのことかとネット検索してみたら、7月12日の西日本新聞に「なぜ? 『数十年に一度』の大雨、7年で16回 特別警報多発の理由」という、なぜこのようなことが起きているのかわかりやすい記事が載っていた。

 それにしても「数十年に一度の大雨」と聞いて、あたしが「え?」と反応したのは、このところ毎年のように大雨による悲惨な災害が起きている気がしたからだ。

 新聞にはこう書かれていた。「本県南部を襲った記録的豪雨からわずか1週間の間に、気象庁が最大級の警戒を呼び掛ける『大雨特別警報』が3回発表された。『数十年に一度の大雨』に相当するレベルだが、運用開始から7年間で計16回出ている」

 理由は地球温暖化が進んでいるからで、これまでの防災の常識が通用しなくなりつつあるらしい。記事にはその要因が子細に書かれてあったが(とても良い記事でした)、あたしが今回問題にしたいのはその部分じゃない。

 これまでの防災の常識が通用しなくなりつつあることが現時点でわかっているのであれば、なぜさっさと新たな対策を打たないのか、ということ。

「数十年に一度の大雨」は、この7年間だけで16回も起きている。もはや「数十年に一度」といって、その対策の緩さが許されるものではないのではないか。

 具体的にいえば、避難所などについて。ツイッターでほかの国の避難所の写真があがってきたりするが、段ボールで仕切るというのはこの国独特かもしれない。着替えも憚(はばか)られる。ほかの国は、囲いが高く、しっかりしたテントみたいなものだったりする。

 ほかにも、とっさの有事を想定し、最近1機200億円以上かかるとわかった戦闘機F35など躊躇(ちゅうちょ)なくバンバン買うのに、津波や地震といったもうとっさでもない災害で活躍する「レッドサラマンダー」(一般の消防車両が進入困難な場所での救助活動などに従事する消防車両1台1億円)が、なぜこの国には1台しかないのか? 大きなヘリポートも、各地にもっとあってもいい。

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