大きな災害が起きたとき、だれかと寄り添いたいと思い、結婚する人が増えるとも言われている。ただ、今回のコロナ禍で自粛生活が長く続く中、改めて自身を見つめ直し、「独身がいい」と考える人も出ているようだ。結婚とは、家族とは……。
「家事・仕事・コミュニケーション。すべてが在宅で完結する生活を続けていたら、四六時中誰かと一緒にいる必要性を感じなくなってきてしまいました」
こう話すのは、都内で一人暮らし中の会社員・遠藤麻友子さん(仮名、34歳)。新型コロナウイルスの感染拡大前、遠藤さんにとって最優先の目標は結婚だった。街コン・結婚パーティーと、あらゆる婚活の場に顔を出す日々を送っていた。特に熱心だったのはマッチングアプリ。登録者の中から、年齢・居住地・年収などで相手を検索。気になる異性に「いいね!」ボタンを押し、向こうも自分に「いいね!」を返せばマッチング成立となり、メッセージ交換がスタート。気が合えば直接会い、食事やお茶を重ねて仲を深める仕組みだ。
当初は効率がいいと感じていたが、活動が長期になり、「婚活疲れ」も感じていた。
「一時は同時並行で20人近くとメッセージ交換をしていました。仕事から帰宅するのはいつもだいたい午後9時前後。そこから返信を始めると、それだけで1日が終わってしまう。加えて、土日も平均2~3人の男性とお茶や食事をしていました。一人で過ごせる時間はほとんど持てていなかったですね」(遠藤さん)
状況が一変したのは、コロナの感染拡大後だ。職場で在宅勤務が導入され、週に2回出勤、3日は家で過ごす毎日が始まった。買い物など必要最低限の用事を除き、家から一歩も出ない日も珍しくなかった。同じ独身者の中には「つらい」とこぼす友人もいたが、「仕事をしながら、料理・洗濯など普段はできない家事ができる。とても快適でした」と遠藤さんは話す。他方、居心地の良さが増すほどに「自分は本当に結婚がしたいのか」と自問するようになった。かつての自分をこう振り返る。