その他では、高松商(香川)の「プリティフライ」も魔曲として有名になりそうな候補。この曲も近江の「Fire Ball」と同じく、洋楽が原曲で、米国のパンクバンド・オフスプリングのヒット曲が元である。2016年の選抜準決勝の秀岳館戦、延長11回の勝ち越しの場面で演奏されたことから、すでに魔曲と呼ぶファンもいるほどだ。これまで春2回、夏2回の甲子園優勝を経験している古豪が、また甲子園で印象ある躍進を遂げれば、さらに知名度を増し、魔曲としてファンの間で話題になるのは間違いない。

 先述の3曲は、すでに甲子園で実績がある強豪のものであるため、知っているファンも多いと思うが、まだそこまで知られていない学校の曲を挙げるとすれば、奈良大附(奈良)の「青のプライド」だ。これまで春夏ともに1回ずつの出場のみだが、プロ野球ロッテの応援曲をプロデュースしていたことでも知られる、ジントシオ氏が提供したこの曲にはすでにファンもついている。甲子園での唯一の勝利を収めた2018年の選手権大会では、曲名がツイッターでトレンド入りしたほどだ。

 奈良大附のような新興勢力の応援としては、中央学院(千葉)の「シダックス・ファイヤー」も魅力溢れる曲だ。2018年に“二刀流”として注目を集めた大谷拓海を擁して、春夏ともに甲子園出場を果たした中央学院。曲自体は、同校の相馬幸樹監督が所属した社会人野球シダックスが使用しているもの。千葉には“美爆音”の習志野の応援が全国的に有名だが、中央学院の「シダックス・ファイヤー」も全国区になるだけの要素を兼ね備えており、チームの活躍次第で魔曲認定される可能性を秘めている。

 最後に番外編として取り上げたいのが、PL学園の「ウイニング」と「ヴィクトリー」だ。部員の暴力事件など、相次ぐ不祥事で2016年から休部(事実上の廃部)となっている同校の野球部だが、かつては清原和博、桑田真澄のKKコンビなどを擁し圧倒的な強さを誇ったチームだった。その強豪を強烈に後押しし、相手チームが聞いただけでも縮み上がってしまいそうな迫力があったのが、この2曲である。

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PL学園が戻ってきたら、応援曲は魔曲に認定?