「よく使われるツールの一つが、オンライン会議システム『Zoom』(ズーム)ですが、嫁がアプリのインストールや設定を電話で説明しても、相手がうまくできないことは多い。なかには、スマホ本体を嫁側に郵送してもらい、通話できるように設定したスマホを再度、義両親側に送り返さなければいけなかったという人もいました」
三松さんによれば、その他にも「慣れないZoomで緊張したのか、よくしゃべる義母の口数が少なかった」「使いこなせず、いらだった義両親から文句を言われた」「『ゾーンに入った!』としきりに言うので、なんのことかと思ったらZoomのことだった」と、トラブルや思わず笑ってしまうような話まで、オンライン帰省に関する様々なトラブルの相談が寄せられているという。
操作の簡易性を考えれば、日ごろから使い慣れているLINEなどのビデオ通話機能もオンライン帰省にはありかもしれない。撮影した動画などを実家のテレビに直接送ることができる「まごチャンネル」を販売している「チカク」(東京都渋谷区)が、今年のゴールデンウィークにオンライン帰省をした人を対象におこなったアンケートによると、約87%の人がオンライン帰省にビデオ通話(LINE、FaceTime、Skypeなど)を利用している。
だが、なかにはビデオ通話の手軽さゆえに思わぬ苦労が待っていることも。
「姑にLINEのビデオ通話を教えてしまったがために、オンライン帰省とは関係なく、『孫の顔がみたい』と頻繁に電話がかかってくるようになってしまうケースは多いのです」(三松さん)
姑側の気持ちは理解できる。だが、妻たちは忙しいのだ。「頻繁に電話に対応していられない」というのが、彼女たちの本音だろう。両者の距離感を維持し、無難にオンライン帰省を乗り切るには、妻たちはどうすればよいのか。
「妻たちにとって最もストレスなのは、突然の電話です。熟年層には、通話の前に『今から電話しても大丈夫?』などとテキスト上でアポをとる習慣がありません。頻繁に電話が続くようなら、あらかじめ連絡してもらうことや、電話の頻度をルールとして決めるのがよいです。妻からでは伝えづらいでしょうから、夫を通じてお願いしてはどうでしょうか」