カジノを含む統合型リゾート施設(IR)汚職をめぐり、収賄罪で起訴された衆院議員の秋元司被告の事件で新展開があった。
東京地検特捜部は8月4日、秋元被告に現金を渡した贈賄側の被告らに「裁判で秋元被告に有利な証言すれば、報酬を渡す」などと偽証をもちかけた3人の会社役員、淡路明人容疑者、佐藤文彦容疑者、宮武和寛容疑者を組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で逮捕した。
淡路容疑者と佐藤容疑者は6月27日に沖縄県那覇市のホテルで秋元被告へ現金を渡したとされる贈賄側の中国企業「500ドットコム」元顧問、紺野昌彦被告に1千万円、翌日には2千万円を提供すると申し出たという。
宮武容疑者は7月に同じ中国企業の元顧問、仲里勝憲被告に数百万円を供与すると申し出たという。
「佐藤容疑者は7月22日に紺野容疑者へ直接、現金2000万円を手渡し、偽証を依頼したが、その直後に現金を返却されている。淡路容疑者らは秋元被告の支援者。秋元被告は保釈後、何度も接触していた」(捜査関係者)
逮捕された3人の中でキーマンとされるのは、淡路容疑者だ。
淡路容疑者は3年前、いわゆるマルチ商法で消費者庁から一部業務の停止命令を受けた札幌市の「48(よつば)ホールディングス」の元代表取締役で、秋元議員の政治活動を支援していたという。さらに淡路容疑者は安倍晋三首相とも「桜を見る会」などを通じて接点があった。
淡路容疑者は2016年の「桜を見る会」に招待され、その前日の前夜祭で安倍首相や昭恵夫人との写真を自身が当時、社長を務めていた48ホールディングスのPRに使用していた。一緒に逮捕された佐藤容疑者も48ホールディングスの取締役だった。
48ホールディングスは仮想通貨「クローバーコイン」の勧誘に安倍首相や昭恵夫人との写真を使い、信用性を高め、2017年6月までに200億円を超す売り上げがあった。
しかし、消費者庁によると48ホールディングスに関する消費者からの被害相談は300件以上寄せられ、2017年10月、消費者庁は48ホールディングスに3か月間の業務停止命令を出し、クローバーコインの購入者から、全国で訴訟が相次いだ。