■身長の高い親からは、より身長が高い子が生まれたとしたら……
日本スポーツ協会によると、子どもの身長は、男の子は(父の身長+母の身長+13)÷2、女の子は(父の身長+母の身長−13)÷2、という式で予測されるそうです(あくまで予測なのでもちろん誤差はあります)。男の子が生まれる確率は女の子の生まれる確率と同じなので、この式にあてはめて考えてみても、親の代と子どもの代の平均身長は、ほぼ似たような値になると言えます。
もし身長が高い両親から、より身長が高い子が生まれ続けるとしたら、その家族の背丈はあっという間に2mを超えてしまうでしょう。しかし、現実としてそんな現象は起きていないわけですから、平均への回帰が実際に起きているのだと分かります。
高学歴の親の中には、「自分の子なら〇〇大学くらいよゆうで入れるに違いない」と思っている人はいるでしょう。もちろん、平均への回帰は大勢を集めた統計学上のことなので、親よりさらに高い知能をもつ子が生まれてくる可能性は大いにあります。しかし過度な期待は、子どもに負担を強いることになるかもしれません。
そして 逆もまたしかりで、「私の子ならこの程度だろう」と、下手に伸びしろを決めつけてしまうことも同様に、努力しようとしている子どもの足枷(あしかせ)となります。
大学の偏差値に関しては、「偶然」や「運」の部分によるものが、かなり強いと私は思っています。たとえば私は中学時代からうつ病を発症し、そのためにうつの啓発本を書きたいという目標が生まれました。
そこで、出版社が多い東京にいく、資格をとるために薬学部がある大学にいく、さらに親から「一人暮らしするなら国立大学しかダメだ」と言われていたため、選択肢は東大しかなかったのです。
ここでもし、私がうつを発症していなければ、東大なんて目指さなかったでしょう。高3の時点で全体の偏差値は50以下でしたし、大学にもいっていたかどうかさえもわかりません。私が偶然うつを発症し、たまたま保健室にうつの本があり、それを手にして心が救われたことで、「本を書きたい」という動機が生まれ、東大にいくまで偏差値を上げられたというだけなのです。