うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。
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私も夫も東京大学を卒業し、さらに夫は開成中学にいたからでしょう、今までに何度か「子どももやっぱり東大に進学させるの?」と聞かれたことがあります。
夫婦ともに慶應大学を出ている家の子も、「やっぱり将来は慶應なの?」と言われたことがあったそうです。息子は今年やっと小学1年生になったばかりで、まだひとケタの計算でさえも苦戦しており、将来についてはなんともいえないところですが……。
■東大にいきたいというなら応援はするけれど……
息子が「普通に東大にいける」と思われがちな点について、実は少々心配をしています。どんなにがんばって勉強し、成績をアップさせても、周囲から「当たり前」という態度をとられたら、やる気がなくなるであろうことは容易に想像できます。私は、息子が東大にいきたいというなら応援しますが、決して強制はしないつもりです。
そもそも、両親ともに東大を卒業していたとしても、子どもが東大に入れる確率は、たったの20%しかないのだそうです。IQは遺伝すると言われていますが、もし知能の60%が遺伝だと仮定しても、行動遺伝学に基づいて計算してみると、全国模試のE判定(最低ランク)と同じ合格率にしかならないのです。
片親だけが東大なら、さらに5%まで下がるとのこと。両親が東大卒で、金銭的にもよゆうがあり、子どもの教育環境が整っているケースだと少々確率は上がるそうですが、それでも高くて40%という数値になるようです。
つまり、たとえ両親の偏差値が高くても、必ずしも子どもの偏差値が高くなるわけではないのです。
遺伝学者のフランシス・ゴルトンが親子の身長に関してデータを解析したところ、低い身長の親から生まれる子どもは親よりも少し高い身長になり、高い身長の親から生まれる子どもは親よりも少し低い身長になる、といった傾向があることを発見しました。
そして、特にとびぬけて身長が高い親・低い親のほうがその傾向は強く表れることも判明しました。このように、偏った数値が徐々に平均値へ近づいていくことを、「平均への回帰」と呼びます。