「感染可能性がある人は、絶対にPCRもしくは抗原を受ける必要がある。リアルタイムで感染しているかを把握しなければならないからだ。現在感染していれば、すぐに対処の必要がある。逆に現時点で健康な場合はPCR、抗原、抗体のどれでも良い。仮に過去のウイルス感染で抗体ができていれば、安全ということもわかる。だから仮にスポーツ界において感染していないことを検査で担保したいのなら、検査方法はどれでも良いが、いずれの検査も繰り返し反復して行うというのが絶対必要条件だ」
発熱、肺炎症状、味覚・嗅覚障害など、コロナウイルス感染に特徴的な症状があれば、現時点での感染を検査する方法が絶対。これはPCRと抗原に限られる。しかし無症状で健康な人にPCRや抗原は必ずしも必要ないという。
「アスリートが日々、激しいトレーニングができるのは健康状態だから可能になる。その場合、試合や興行に参加する担保はいらないはず。ウイルス感染者は各自が自覚症状を持つ。そうなった場合は、競技をおこなってはいけない状態なわけだから」
現状、PCRを推奨する動きが盛んであるが、本来はそれ以前にやらなければならないことがあるという。
「現在、政府などが中心となってPCRを推奨する動きが進んでいる。国内で検査キットを生産できる体制が進み、症例データを多く集めたいという意図があるのも理解できる。しかし現状のままでは苦しむ人が、特にアスリートに続出する危険性がある」
「どんな検査も完璧はない。そもそも今回のウイルスは前例がないから、対処に時間を要している。ウイルス関連の専門家が集まって知恵を絞っているが、誰もが初めて接するウイルス。必要なのは日々、定期的に繰り返し検査を継続すること。PCRだけでなく、抗原や抗体でも同様で定期的に感染状況を見守るしかない」
予算などを考慮しながら、適した検査方法を定期的に繰り返し行う。感染者が出た場合には、その都度適切な対応をする。その間に決定的な治療や対処方法を見つけ出す。現時点でのウイズコロナのスタンスとして、まずは周知徹底しなければならないことだ。(文・山岡則夫)
●プロフィール山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。