あ~あ、また何か言ってるよ※画像はイメージです
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筆者の西野一輝氏は経営者、専門家2000人以上に取材してきた(イメージ)
筆者の西野一輝氏は経営者、専門家2000人以上に取材してきた(イメージ)

 あなたの周りにムダにやる気を下げてくる人物はいないだろうか? 経営・組織戦略コンサルタントの西野一輝氏は、こうしたやる気を下げてくる人物への対策を『モチベーション下げマンとの戦い方』(朝日新聞出版)として上梓した。今回登場するモチベーション下げマンは「コロコロ言うことが変わる上司」について。

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矛盾した指示を出す

 上司に「無理しなくてもいい」と言われたら、どんな気持ちになりますか? 肩の力が抜けて、楽になる人が大半かもしれません。でも、逆にモチベーションが下がる人もいます。

 例えば、責任感が高くて、仕事もできると評判も高いSさん。上司から「ちょっと厄介な仕事を誰かにお願いしたいのだが、できる奴はいないか?」と、投げかけがありました。Sさんは「自分がやります」と手をあげ、前向きに仕事に取り組んでいました。

 ところが、頑張るSさんを見た上司からの一言は「無理しなくていい」。その言葉を聞いて、Sさんの気持ちはガクンと下がってしまいました。「大変な仕事を引き受けたのだから無理して当たり前。そんな言い方をするなら頼まないでほしい」と思ったわけです。

 つまり、同じ言葉を投げかけても相手の受け止め方は違う。さらにいえば、矛盾をはらんでいると相手が感じればモチベーションが下がるのです。

 矛盾とは、前に言ったこととあとに言ったこととが一致しないこと。一般に、理屈として二つの事柄のつじつまが合わないことを指す。

 この矛盾をあえて正義と思い、モチベーションを下げる機会を生み出す傾向が高いのがオーナー経営者だ。朝令暮改で言うことが変わると、矛盾を感じてモチベーションが下がる人をたくさん生み出します。

 例えば、取材したある会社で、オーナー社長が朝礼にて訓示をしている場面に遭遇したことがあります。社長は「多少の値引きをしてでも仕事は取るべき」と社長が熱弁をふるっていましたが、それを聞いている社員たちはうつむいていました。その雰囲気が気になり、朝礼後に社員たちに質問をぶつけてみました。すると、社員からこんな答えが返ってきました。

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「やってられない」若手社員の離職率が跳ね上がった