毎年旧暦の大晦日ごろ、かならず里帰りのための大きな流動人口が生じ、それで私は海外へ脱出する旅行を画策するのだ。
調べてみると、武漢に籍を持つ人口は900数十万、そこにおよそ1400万の流動人口が加わる。2019年に武漢に留まり春節を祝った人はおよそ700万足らず。すなわち流動人口の大部分は春節になると武漢を離れ里帰りをする。武漢籍の人々のうち春節に旅行をするものも200~300万人にも上る。
■重大なミスリード
「1月23日の都市封鎖の前に春節休みとウイルスの流行を理由に武漢を離れた人の数は500万」という武漢市長の発言は明らかに重大なミスリードである。実際のところ突然の都市封鎖で少なくとも200万人が武漢に閉じ込められた。私もその一人だった。そのほか300万人ぐらいが1月22日以前、事情がよく分からない状況下で武漢から流出していた。
中国で長く暮らすことによって身に付いた常識により、コロナウイルス流行の実際の状況が当局の報道よりもひどいだろうことは、当然ながら想像できた。しかしロックダウンをしなければならないほど事態はひどいのか? 落ち着いて考えてみた。
○阿坡(A.PO)/一武漢市民。77日間の武漢都市封鎖(ロックダウン)を経験し、この手記を執筆。「阿坡」は本名ではない。全世界に多大な迷惑と災難をもたらした新型コロナウイルスについて、一人の健全な精神を持つ中国人としてお詫びの気持ちを表すために、英語の「apologize(お詫びする)」から取った。全世界の国々が中国からのお詫びを待ったとしても、それが述べられることはない。だか、この名前を用いて手記でお詫びの気持ちを表したいと考えている。
訳/kukui books
※AERAオンライン限定記事