

毒舌ともいえるはっきりした物言いが注目される社会学者・古市憲寿さん。一方で2作連続芥川賞候補となるなど小説家としても活躍する。作家・林真理子さんとの対談では、最新作『アスク・ミー・ホワイ』について語りました。
<古市憲寿の“省エネ人生”小学生の頃から「世論の操作」を考えていた!?>より続く
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林:不思議なのは、こんなにテレビに出ていて、どうして小説を次々と書けるんですか。古市君の一日って、どういう一日なんですか。
古市:たとえば今日だったら、朝6時過ぎに家を出てフジテレビに向かう。「とくダネ!」に出演して、10時半ぐらいに家に帰ってくる。エッセーを1本書いて、今度出す本のゲラを直して、真理子さんとの対談。このあと夜は出版社の人とごはんです。
林:そうすると、集中して執筆するのは夜ですか。
古市:夜が多いですね。でも、集中力がぜんぜんない。長時間、座り続けて文章を書くなんてできないんで、数十分のこま切れです。すき間時間に書くことが多いです。
林:いつもノートパソコンを持ち歩いてるんですか。
古市:小説を書くときはノートパソコンが多いですね。エッセーだとiPhoneで書いちゃうことも多いですけど。
林:えっ、エッセーをiPhoneで書くんですか?
古市:エッセーぐらいだったらiPhoneで書けますね。真理子さんは一日何時間ぐらい書いてるんですか? コロナの前は毎晩会食だったでしょう?
林:そう。だから土日にびっちり働いてました。コロナになってからは、日によって違うけど、5~6時間は書いてるかな。エッセーだけが締め切りの日は3時間ぐらいだけど、小説の長いやつの締め切りがあると、7~8時間は書いてますよ。
古市:「anan」の1回のエッセーはどのぐらいで書けるんですか。
林:早く書けるときは1時間ぐらいで書けるけど、書けないときもある。うちの夫は「よくそうやってボーッとテレビ見てられるな」と言うけど、ボーッと見てるときもいろいろ考えてるんです。