野手でもう一人取り上げたいのが強打の捕手、牧原巧汰(日大藤沢)だ。昨年夏の神奈川大会では3本塁打を放ちチームの決勝進出にも大きく貢献したが、この夏も初戦から2試合連続ホームランを放つなど、その打棒を十分に見せつけた。体つきが昨年よりも一回り大きくなり、それに比例するようにヘッドスピードもアップ。全身を使ったフルスイングの迫力はとても高校生のものとは思えない。

 キャッチャーとしてもイニング間のセカンド送球ではコンスタントに1.9秒台前半をマークしており、キャッチング、ブロッキングも高レベルだ。神奈川大会は全国で唯一スカウトが入場することができなかったが、大会前の練習試合には多くのスカウトが姿を見せており、その注目度の高さをうかがわせた。

 本来であればこの代替大会で3年生は引退となるが、今年は特例ということで今週末に甲子園、来週末に東京ドームで「プロ志望高校生合同練習会」が行われる予定となっている。果たしてその場で浮上してくる選手は現れるのか。こちらのイベントにもぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。