また、料理の得意なAさんは頼まれれば夕食の準備もする。エビチリなど具体的なメニューを指定されることもあれば、「今日は和食がたべたいな~」といったふわっとしたオーダーがくることも。もちろん買い出しから、Aさんが担う。

「基本的な料理はできますよ。わからない料理も、ネットで調べればだいたい作れます。実はお菓子作りが好きなので、要望をうけてケーキを作ったこともあります」

 ニコニコと話す様子は、本当に楽しそうである。共働き家庭で育ったAさんは、小さいころから家事が得意だったという。両親の帰りが遅いので最初はカップラーメンを食べていたが、1カ月で人工的な味に飽きてしまい、自分で作りだしたのがきっかけ。幼い妹にもおいしいものを食べさせたいとも思った。それが小学3年生のとき。

 中学生になると、バレンタイン前に同級生の女子たちが「チョコレートの作り方教えて!」と頼みに来るようになった。レシピだけでは失敗してしまう女子生徒には、家庭科室で“実習”することもしばしば。「このくらい覚えていたら、悲惨なことにはならないよ」と横について、指導したという。

 さて、リアルナギサさんのようなAさんだが、ドラマはどのように見ていたのだろうか。

「仲間もみんな毎週楽しみに見ていました。ドラマによって世の中で男性の家事代行サービスへの理解が深まり、うれしい限りですね」

 ところで、男性スタッフと依頼主がナギサさんとメイのような関係になることはありえるのか。残念ながら、その点はきっぱり否定。

「依頼主と恋愛関係になることはないですね。でも、愚痴を聞くことはあるんですよ。仕事や家庭のささいなことですが、もっぱら聞き役です。ひたすら、相手の話をきくだけですね。それも仕事のうちかなと思っています」

 掃除や料理は完ぺきで、愚痴を黙ってきいてくれる。働く女性はこれ以上の何を望むのか。家政夫はリアルナギサさんではなく、神だった。(AERAdot.編集部/鎌田倫子)

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