上白石萌音による新アルバム「note」が8月26日にリリースされた。YUKIや野田洋次郎(RADWIMPS)、内澤崇仁(androp)、水野良樹(いきものがかり)といったアーティスト陣が手掛ける計10曲が収録された、豪華な1枚だ。AERA 2020年9月7日号に掲載された記事で、芝居と音楽への向き合い方について話を聞いた。
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上白石萌音(以下、上白石):お芝居って、歌よりも正解がわからない。正しい音程やリズムがあるわけでもない。自分の演技を見るたびに「本当に下手だな」って思うし、これが世に出ちゃうのは怖いなっていう思いが強いんです。でも音楽に関しては、怖いなという気持ちもありながら、やっぱり楽しみのほうが強い。
それに、ずっとライブで歌っていけるし、この仕事を辞めたとしても、きっとわが子に歌います(笑)。繰り返し向き合っていける喜びが音楽にはあります。
そもそも上白石にとって歌は、幼少の頃から「大好きなもの」であり「自分が楽しむためのもの」だった。それが「人に聞かせるもの」へと意識が変わった瞬間のことを今も鮮明に覚えているという。
上白石:CDデビューする前に、青山にある小さなライブハウスで初めてライブをして。その時にピアノの弾き語りをやったんですけど、途中で指が止まって弾けなくなった。歌だけは歌い続けたけど、散々な演奏でした。それが悔しくて大泣きしながら帰って。私にとって音楽に対する初めてのトラウマです。
それまではただ楽しくて。「舞妓はレディ」やお仕事として歌っている時も「楽しいな」と思いながら歌っていました。それが、バコンって壁にぶち当たって。今思い出しても胸がめちゃくちゃ痛いんですけど、あの瞬間に「音楽をやるって楽しいだけじゃない」って感じました。
今年、佐藤健が演じる医師に恋する新人ナースを演じたドラマ「恋はつづくよどこまでも」が社会現象とも言える大ヒットを記録。この経験も上白石の心境に大きな変化を及ぼした。