念のため、ニューヨークにいる間に、PCR検査と抗体検査を受けた。それから日本の空港についてから検疫で義務付けられている抗原検査も受けた。いずれも陰性だった。空港での検査は、従来はPCR検査だったゆえに機内での順番待ち、看護師による検体の採取(鼻の穴に綿棒を突っ込んで粘膜を採取する=鼻の奥がツーンとなり涙がでる)、検体の処理(綿棒を浸けた液からウイルスRNAを抽出する)、そしてPCR反応、と時間と手間がかかり、最速でも1日、2日を要していた。このため結果待ちに空港のダンボールベッドで寝泊まりしたり、近くのホテルで待機したりする必要があった。
■抗原検査で大幅に時間短縮
だが、8月から唾液による抗原検査に切り替わったため、大幅に改善された。唾液は自分でろうと付きの試験管に採取でき、検査もスティック状のキット(妊娠チェッカーや排卵チェッカーと同じ仕様)をつけるだけなので、結果待ちの時間も1、2時間と短縮された。
この場合の抗原とはウイルス粒子の表面タンパク質のことで、キットの方に特異抗体が仕込んであり、反応が起きると発色するようになっている(ただし被験者は実際に見ることはできない)。PCRによるRNA検出に比べると検出感度は落ちるものの、ウイルス保持者をスクリーニングする目的では迅速さと省力の点で圧倒的に勝っている。今後は、国内でもこの抗原検査の普及が必要だと思われる。
ただし、ここで陰性の判断を受けても、なお潜伏期である可能性があるので、自宅もしくはホテルなどで2週間の自己隔離が要請される。空港から公共交通期間(タクシーを含む)の利用は禁止だ。これも途方にくれる必要はなくなった。ちゃんとハイヤー会社が、コロナ対策専用車両サービスを運行するようになったのだ。ネットで予約すると、運転席と客席にバリアーを貼った大型ワゴンのハイヤーが迎えにきてくれて自宅もしくは任意の待機場所まで届けてくれる。