2層構造としたのは、公道の下に1面2線のホームを2カ所建設することで、費用を抑制したものと考えられる。地上から40メートル以上も下の大深度地下でなければ、私有地は地下も含まれるため、土地を購入してから掘らなければならないからだ。
副都心線では、雑司が谷駅が第12位にランクイン。地上からマイナス33.8メートルのところに位置する。
■JR東日本の駅もランクイン
第9位はJR東日本総武本線の馬喰町(ばくろちょう)駅で、地上からマイナス34.4メートル。東京~錦糸町の地下区間は既設の地下鉄と交差するため、深い位置に建設せざるを得なかったようだ。都営新宿線の馬喰横山駅(さらに都営浅草線の東日本橋に直結)に隣接しており、乗換駅として案内されている。
第14位は京葉線東京駅で、地上からマイナス33メートル。当初は成田新幹線用のホームに充てられていたが、計画が白紙となり、京葉線に転用された。ホームの位置は東海道本線東京~有楽町のほぼ中間にある。また、東京メトロ千代田線の二重橋前駅からでも容易に乗り換えられる。
第15位は東北新幹線上野駅で、地上からマイナス30メートル。新幹線では唯一の地下駅である。
■消えた海底駅は今……
ここからは番外編。以前、青函トンネル内に、吉岡海底駅(海面下149.5メートル)、竜飛海底駅(海面下135メートル)があり、最低地点の駅としては第1位、3位だった。
開業前は駅としての営業を想定していなかった。車両火災などの非常事態に備え、防災用の定点を青森県側は竜飛、北海道側は吉岡に設け、乗客の避難施設や、車両の消火設備を設けた。
そこでJR北海道は、定点を世界初の海底駅にして、線路外の坑内を観光地に整備することで、話題づくりや増収策に努めた(両駅を利用できるのは、見学客のみ)。2014年3月15日をもって駅は廃止され、青函トンネル開業前の竜飛定点、吉岡定点に戻った。現在も新幹線の車窓から眺めることができる。
■地上駅でも海抜マイナスがある
JR東海関西本線と名古屋鉄道尾西線の弥富駅(愛知県)は、地上駅ではもっとも低い海抜マイナス0.93メートルに位置する。1959年9月26日に台風15号(伊勢湾台風)がこの地を襲い、高潮によって弥富駅が冠水、周辺の町も甚大な被害を受けた。
その後、海部(あま)郡弥富町(現・弥富市)は台風や地盤沈下対策として電力排水機を備え、現在も弥富駅は海抜マイナス0.93メートルのままである。(文・岸田法眼)
岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)がある。また、好角家でもある。引き続き旅や鉄道などを中心に著作を続ける。