あなたの周りにムダにやる気を下げてくる人物はいないだろうか? 経営・組織戦略コンサルタントの西野一輝氏は、こうしたやる気を下げてくる人物への対策をまとめて『モチベーション下げマンとの戦い方』(朝日新聞出版)として上梓した。今回登場するモチベーション下げマンは「『○○さんがこう言っていたよ』と告げ口する人」について。
【チェックシート】仕事へのやる気も左右する?デジタル時差ボケとは
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「誰かの一言」によって、モチベーションが下がってしまったという人にたびたび出会ってきました。例えば、「仕事に対するこだわりが薄い点がきみの長所だね」というひと言。これは、自分は相手の気持ちがわかっている、自分は相手のことをわかってあげようと努力していると言いたいのかもしれません。でも、言われた方はモチベーションが下がります。そういう勘違いしたモチベーション下げマン(以後MSM)はたくさんいます。自分を過大評価しているのかもしれません。
残念ながら、このMSMの過大な自己評価は今後も変わりません。変わらないのですから自分のモチベーションの下げ幅を最低限にするために、極力その人とのコミュニケーションの量を減らしましょう。
さて、どんなふうに距離を取っていけばいいのかというと、やみくもに冷たい態度をとるのはおすすめしません。そこで、「自分は鈍感で、あなたが話している意味がよくわかりません」と言うのです。つまり、MSMの発言の内容が高尚であって、自分にはわからないように振る舞うのです。MSMも話していることが伝わらないとなれば、おもしろくなくなり心の距離を置く可能性があります。
仮にMSMの発言に敏感に反応すると、それがうれしくて離れてくれなくなるでしょう。それどころか、さらに似たような発言を繰り返す、厄介な状態が続く可能性があります。人は、発言するなら相手の反応は欲しいもの。言いやすい相手で、かつ応えてくれる人なのでターゲットになっている可能性があります。
たとえばあなたが経理部に所属していたとして、他部署のある人物が「総務部の後輩が、きみのことを『計算ミスが多い』と、言っていたよ」と、コメントをしてきたとします。
ここで「どんな場面で計算ミスが多いと感じたのですか? もしかして、経理失格と言いたいのですか」と感情的な質問でもすればMSMの思うツボです。モチベーションがさらに下がるコメントが準備されているかもしれないからです。