ならば、そのコメントを聞き出すことなく、「そうですかね」と気にしていない感じを示すか「あんまり気にしてないです」と素っ気ない回答をしてみるのです。すると、MSMからすればつまらない気持ちしか生まれないことでしょう。「こいつに言っても無駄」と離れていってくれるはずです。
私も過去に同じような対応をすることで、自分に近い距離感から相手にお引っ越し(距離を置いて)いただいた経験があります。
ただ、もしMSMの指摘を真摯に受けとめ、改善をすべきかもしれないと思えたら、ぜひ自己評価を試みてください。自分が本当に信頼できる人物(同僚など)に「自分って計算ミス多いかな」と聞いてみるのもいいでしょう。
MSMのコメントが明らかに根拠に乏しいと思えた場合も、誰かに「気にしなくていい」と言ってもらうだけでも気持ちが楽になります。あくまでも信頼できる同僚に相談してみて、その結果、温かい言葉をもらうだけで、気になる気持ちは消えていくものです。
決してしてはいけないのは、悪口を言っていたとされる部署に「お宅の部署で、誰かが私の計算ミスが多いと言われたそうですが、それは本当ですか?」と聞くことです。MSMの言動がきっかけであるにもかかわらず、あなたがやっかいな人物と迷惑がられてしまう可能性があるからです。
そもそも、「また聞き」による悪口は相手に対する悪意とは言い切れません。計算ミスが多いけど、それを上回る別の褒め言葉があったかもしれない。それをMSMが都合よく切り取っているかもしれないのです。
TVでマツコ・デラックスさんが「(悪口を言わない)カマトトぶってるヤツが一番怖い。言わないのはどこかおかしい。人間は人の悪口を言う生き物」と断言していたのを見たことがあります。すると、芸人の有吉弘行さんも同調。ネットで話題となりました。
このように人は周囲の誰かの悪口を何げなく言ったりするもの。その真偽を追求するよりも気が置けない同僚の言葉に救われることで十分ではないでしょうか。
■西野一輝(にしの かずき)経営組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている