また「メンタルアベイラビリティ」の重要なポイントとして「カテゴリーエントリーポイント(CEP)」が挙げられています。言葉としては新しいように見えますが、要は「そのブランドを想起する瞬間があればあるほど、そのブランドは強い」ということです。どこか特定の瞬間や場所に行かないと想起されないブランドは、使用機会が少ないので、大きなブランドになりえません。なので、そのブランドと結びついた、そのブランドを思い出すような使用機会や瞬間を多くつくるというのが、自分たちのが考える狭いブランディングに縛られて忘れられがちですが、やはり正攻法なのです。
今日のマーケティングは仕事が細分化されすぎていて、マーケティング全体の5%くらいにしか携わっていないような「自称マーケター」が大勢います。動画広告や、インフルエンサーを活用だけに携わっていて「マーケター」と威張っていてはダメなのです。デジタル広告やインフルエンサーが効く場合もあるし、効かない場合もあります。製品・サービスやターゲットによってとるべき選択肢は違うので、それを俯瞰的に考えて、特定の手法(デジタルやインフルエンサー)に捉われることなく、最適な打ち手を考えられるのが、マーケターとして重要だと思います。
本作を読むと、「商売に関わること全部がマーケティング」ということがよくわかります。俯瞰した視点を持つマーケター、そうした人材がいる会社のほうが格段に成功する可能性は高いのです。
マーケティング業界では、経験や実績、発言力のある人が「これが効果的」と様々な手法を紹介します。それがまるで常識のように広まったりします。けれども自分が当たり前だと思っていることも含め、そのような声に惑わされず、今のやり方が本当にベストなのかを、自分自身で考え続けることが重要だと思います。