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YouTubeの広告で広く知れ渡った「好きなことで生きていく」という言葉は、YouTuberの存在を認知させるキャンペーンとして、出された秀逸なキャッチコピーです。一度で覚えられる言葉、読み手の心にさざ波を起こすような、仕事をする全ての人に刺さるような、魅力的なワードです。
ただ、この言葉が一人歩きして、「YouTuberは好き勝手してお金を稼げる!」「YouTuberなら自分の好きなことをして生きられる」のような解釈をされることも少なくありません。もしかしたら、このコラムを読んでいる方の中には、YouTuberは遊んで暮らしているようなイメージを持っている方もいるかもしれません。
そもそも、このフレーズが誕生した6年前のYouTuberを取り巻く環境は、現在とは全く違いました。YouTuberという存在の知名度は低く、世間や業界ではかなり下に見られることが多かったのも事実です。このYouTuberの地位の向上に大きく貢献したのは、ヒカキンさんやはじめしゃちょーさんに代表される、トップYouTuberたちでした。
とくにヒカキンさんは、YouTuberの地位向上に貢献され、彼のおかげで今の「YouTuber」の立ち位置があるとも言えます。私を含む、全てのYouTuberはヒカキンさんを心から尊敬しています。今でこそ子供がなりたい職業にランクインしたり、私のような”YouTuber”がコラムを連載したりするほどになりましたが、数年前は、YouTuberに対する世間の目は厳しいものでした。素人が出す動画、テレビの劣化版、芸能人に劣る存在という認識が強かったと思います。この状況からYouTuberを昇華させるきっかけとなったのが、先の「好きなことで、生きていく」というキャッチコピーとCMでした。(実際には、世間が肯定的な目を向けるまでここから2~3年かかっています)
個人で活動するYoutuerは、全ての判断を自分で下します。自分一人で判断し、行動し、考察する存在です。上司の指示を聞いたり、会議で何かを決めたり、「誰かの許可がなければ行動できない事象」は基本的にはありません。何をするか、どんな動画を作るか、働く時間も、全て自分が決めます。誰かの存在に縛られない存在として、新しい生き方として、YouTuberという存在を打ち出したい。そんな気持ちが生み出した言葉だと思います。ご存じの通り、このキャンペーンは大ヒットし、その後の有名YouTuberたちの努力によって、さらにYouTubeやGoogleの企業努力と、世間のインターネットに対する関心などの要素が重なって、YouTuberという職業は、現在のポジションを確立させました。